カリ のプロダンサーのストイックさ

コロンビアのカリにはサルサのアカデミーが多数あります。

日本や他の国にあるダンス教室とは違うんですよ。
日本は習い事として、自分がレッスン受けたいときに受ける感じでしょう。

カリでは、3歳~5歳という幼児のころからダンスのアカデミーに入門して、そこで大人になるまでダンスの英才教育をされます。
高校生にしてサルサ歴15年とか。
ダンサーになったら、そこのアカデミー所属として、ペアや団体で競技会やショーやパフォーマンスなどに出ます。
ダンサーはどっかのアカデミーの所属してるか、元ダンサーでも以前どこのアカデミーに所属してたか… いつもどこのアカデミーなのかをきかれます。


私のカリの友達に、有名ダンスアカデミーのディレクターがいます。
彼はプロダンサーでもありショーにも出てますが、アカデミーの長としてマネジメントしています。

そこのアカデミーは海外公演もやっている、国内外で有名です。
海外に行くとKING扱いされるんだけど、カリに戻ればサルサのプロダンサーがごまんといて競争が超熾烈なのでKINGではなくなると、ぼやいてました。
それは、カリにいるダンサーならだれでも言うこと。
カリはダンサーの競争が激しすぎるから。
カリでダンサーとして目立つには、世界チャンピオンになるとかしかないのでは…。


私は先月まで2か月コロンビアのカリにまたまた滞在してました。
そのときにそのアカデミーのディレクターであるその友達に何度か会って話をしました。

彼の奥さんも同じアカデミーのディレクターで、彼ら夫婦はダンスパートナーでもあります。
彼らの子供も3歳から自分のダンスアカデミーに入れてダンサーの道を歩んでいます。
一族にサルサダンサーが何人もいて、家に帰ってもサルサの話になってしまう。

仕事ではダンサー達を率いて指導して、自分もショーで踊って、サルサが仕事。
子供と遊ぶ時間もなく家庭を犠牲にして、自分の趣味の時間とかもなく、子供の時からサルサに人生を費やしてきてる。

サルサのために、彼は非常にストイック(禁欲的)な生活をしてる。
彼は体を常に健康に保つために、タバコも吸わないしお酒も飲まない。
食事や睡眠に気をつかって、ダンスの練習に励み、体を鍛えている。
週末にクラブに踊りに行くこともないそうです。
万が一なんかがあってクラブに踊りに行ったとしても、水しか飲まない。
仕事以外でサルサ踊ることはほぼない、とのこと。


しかも夫婦でダンスパートナーだしサルサアカデミーの長だから、サルサを家庭に持ち込むと気が休まらないので、家でサルサ踊るのは禁止にしてるそうです。
サルサ踊っていいのは、12月24日のクリスマスイブと誕生日の一年に2日だけ!
それ以外は家ではサルサ禁止にしてるそうです。

だから、せっかく日本から来た私をクラブとかに連れて行ってあげたいんだけど、12月はカリのサルサ大カーニバルで一番忙しいときだし、もし時間とれたら踊りにつれていくねといってましたが、普段からクラブとか行かないんだから無理しなくていいと私は言いました。
結局、彼は多忙すぎてクラブなんか行くヒマなし。
まあ、そんな有名でダンス上手い人とひとまえで踊ったらはずかしいから、別にいいけど。


以前から、彼の話をきいていると、ほんとにストイックで(禁欲的)で泣けてくるくらい。

彼は人生哲学がしっかりした人で、その哲学を若いダンサーたちに説いてるんですよ。

ダンサー達みんながみんな彼みたいにストイックなのかわからないですよ。
もっと若い子とか遊んでたり、なかにはもっと不真面目な人もいるかもしれない。
元ダンサーでも、ダンスで食べて行けずに転落していった人もいるし。



しかし 実際、カリのクラブに行くと、ダンサーに出くわすことはほとんどないです。
ダンサーは踊り方や姿勢が違うのですぐダンサーだと分かっちゃうから、ダンサーがクラブに遊びにきてることはあんまりないと思うんです。

私は以前カリにいたときは、元ダンサーの友達が多かったので、元ダンサーの友人たちとクラブ行ってました。
元ダンサーなので、他のダンサー(や元ダンサー)に出会ったらすぐお互い顔や名前がわかって挨拶はじまるんだけど、クラブで出くわすことは年末以外ほぼありませんでした。


カリは、ダンサーと 一般のクラバー(クラブで踊ってる一般人)がきっぱり分かれてます。
そこには大きな境界線が。
クラブにはたんにお酒とダンスを楽しみに来る一般人達が来てて、一般人は踊り方が全然違います。
日本でカリサルサを習った方がカリのクラブに行ったらがっかりするかもしれません。
カリの一般人はOn1 でもOn2でもキューバンでも、いわゆるレッスンで教えられてる「カリサルサ」でもないです。
カリ独特の踊り方をします(コロンビアの他都市のボゴタやメデジンとも違う)。
けど、これも「カリサルサ」なんです。 カリのサルサだから。


一般のダンサーはダンサーだけで食べていけなくて、本職を持ちながらダンサーやってる人たちも結構います。
コロンビア人は早朝からよく働くから仕事忙しいし、夜や週末はアカデミーのダンスの練習やショーに出ないといけないし、ほんとに多忙なんだと思います。
たぶん時間的にも体力的にもクラブに行く余裕なんてないんでしょうね。
コロンビアのクラブ、お金かかるしね。(東京よりお金かかる)。


コロンビアは階級社会で、人種差別もありますし、出身地区や居住地区によって6段階にクラス分けされてます。
サルサのダンサーになる人たちは大半が、貧困層とかあまり経済的に恵まれてない層やそういう地区の出身者が多いそうです。
カリで一番サルサが盛んで、年末に路上でサルサ踊るような地区も あんまり治安がよくなく経済的に貧しい地区が多いです。
もっと上の地区は路上で音楽かけたりダンス踊るのは法律で禁止なので。


カリは昔はもっと閉鎖的でカリのサルサに誇りを持ってたので、カリの中だけで独自のサルサが発展してたんだけど、カリのサルサダンサーがワールドチャンピオンになってから状況が一変したとのこと。
サルサのダンサーでも世界のコングレスで勝利すれば有名になれる、  成功すればお金が稼げる、そしてコロンビアから国外に出ていくこともできる… 、と 世界をめざすダンサーが増加した、という話をききました。


超ストイックな私の友達はもう世界で公演してるのですでに世界を知ってますが、「自分達がカリの若いダンサーたちのお手本になって彼らに希望を与えたい」といってました。

自分のアカデミーの若いダンサー達にも、常に 規律とか、体を強く健康に保てとか、生活規範をきちんとしろとか、
スタジオでも ぐずぐずするな、さっさと行動しろとか、非常にキビシイ。
はっきりいって、親よりずっと厳格。
そしてダンスや人生についての哲学を諭しています。


ほんとにサルサに命かけてて、びっくりするくらい。

これがカリのプロダンサー魂 なのかーとビックリ。

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